ボイトレ基礎知識

声の種類一覧とイケボになるコツ!女性ボイストレーナーが徹底解説

イケボの外国人男性

ボイストレーニングに興味を持ってくださる方、特に若い男性から「どうしたら「イケボ」になるんですか?」といった疑問を投げかけられることがよくあります。

一口にイケボと言っても、お笑いコンビの麒麟・川島さんのような艶のある低音ボイスから若手声優さんのような爽やかな声、アナウンサーのような落ち着いた声など、何をイケボととらえるのかは人によって違います。

しかし、イケボと呼ばれる方の多くは発声もしっかりしています。つまり、発声を鍛えれば誰でもイケボと呼ばれる可能性があるということなんです。

今回は、歌声編と話し声編に分けた声の種類とイケボの条件、イケボに近く簡単ボイストレーニングをご紹介します。「自分の声を良くしたい」という方すべてに役立つ内容となっているので、ぜひ最後までお付き合いいただき、イケボを手に入れてみてくださいね。

声の種類一覧

まずは、発声法と声の種類を把握しましょう。ネット上ではチェストボイスやヘッドボイスといった発声の方法と、声質や声の状態を指すハスキーボイスなどが混じって紹介されています。

しかし、発声法と声質・状態は別のものですので、分けて考えるとわかりやすいかと思います。

発声法(声の種類) どんな声?
チェストボイス いわゆる地声のことを言います。チェスト(胸)に響かせるイメージで出し、吐息を交えずに発声します。
ヘッドボイス 息の混じらない裏声のことです。息の消費量を抑えつつ、声の輪郭をはっきりさせることができます。
ミックスボイス ミックスボイスの定義はトレーナーによっても違いますが、チェストボイスとヘッドボイスを混ぜて作る「地声と裏声の中間のような声」としています。詳しくは他の記事で説明しています。
ファルセット 息の割合が多い裏声のことです。

ボイストレーニングでは上記4つの用語がよく出てきます。

次に、声質や印象を表す言葉を見てみましょう。

ハスキーボイス 息の多く混じった、しゃがれた声のこと。先天的にハスキーボイスな人は日本では多くありません。
スモーキーボイス ハスキーボイスと同じ意味ですが、2000年代になってから多く使われるようになった表現です。
ウィスパーボイス その名のとおり、囁き歌いのこと。子守唄のようなイメージです。
イケボ  イケボ「イケメンボイス、イケてるボイス」の略で、いかにもかっこいい男性が出していると想像されるような声のこと。
フェアリーボイス 女性アイドルのような高く可愛らしい声として使われることがあるようです。

イケボは声質というよりも声の状態です。広い範囲で「かっこいい声」という意味で使われます。

イケボの条件【歌声編】

一言で言うと、「歌声がイケボ」というのは、「歌唱力が高い」のとほぼ同じです。
文で比較するとちょっとした違いはありますが、一般的にはほぼ同じ意味で使われています。いくら声質が良くても、歌が下手な場合に「イケボだね」とは言わないですよね。

歌唱力が高い状態とは、以下の4つのポイントが守れていることが条件となります。

  • 正確な音程で歌える
  • リズムに乗って歌える
  • 高音域もいわゆる「喉声」にならず、しっかり歌える
  • 抑揚をつけて歌える

歌声イケボに聴こえる4つのコツ

4つのポイントを「すぐに」「1人で」改善するのは非常に難しいです。そこで、「イケボ」っぽく聴こえるちょっとしたコツも4つお伝えします。

  • 自分の音域に合った無理のない選曲をする
  • 曲の歌詞はしっかり覚えておく
  • 歌う曲を聴き込み、フレーズごとの歌い方を知る
  • 歌うときは絶対に照れない

ちょっと信じ難いと思いますが、この4つのコツを意識するだけで格段に歌唱力が上がったように聴こえますし、イケボにも聴こえます。特に、「歌詞を覚えて歌う」は効果抜群です。車の運転をするとき、初めて通る道をナビに案内されながら運転するよりも、よく知っている道の方がスムーズに運転できるのではないでしょうか。歌も同じで、「次はなんだったかな?」と考えながら歌うよりも「次はこれがくる」とわかっている状態で歌う方が上手に歌えます。騙されたと思ってぜひやってみてください。

また、「目を見て歌う」「感情を込めて歌う」といったアプローチをしたくなることもあるかもしれません。自然にできる範囲なら良いのですが、過度な表現はカラオケではマイナスイメージとなりやすいので注意しましょう。

本格的な歌声イケボを作る簡単ボイトレ

自分にとっての「イケボ」のイメージはなんとなく掴めてきたでしょうか。

ここでは、歌でイケボを手に入れるためのボイストレーニングをご紹介します。
誰にでもできる簡単なものをピックアップしたので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

喉周辺をリラックス!声が出やすくなる「あくびで声出し」

あくびから声を出すイメージを作るトレーニングは、歌うときに喉に力が入ってしまう人におすすめです。喉周辺の筋肉を緩め、力まずに歌うイメージを掴みやすくなります。

しっかり音程がとれていても、喉が詰まったように歌っていると「苦しそう」「痛々しい」など、イケボとは遠い歌が下手な印象を強く与えてしまいますよね。

日常で行なう動作である「あくび」を使って声帯周辺の筋肉をリラックスさせましょう。

1.思いっきりあくびをする

顔全体が口になったようなイメージで思いっきりあくびをします。顎が下がるまで口を開け、表情筋もしっかり動かしてください。

2.あくびの途中でストップ

2回目のあくびをします。今度はあくびの途中でストップし、息を止めます。

3.息と声を吐き出す

止めた息を吐き出すのと同時に、「はぁー」と声を出します。肩を下げるのと同時に、下に向けて声を出しましょう。

4.息を吐き出す方向を前に

今度は息と声を前に向けて出すイメージで出します。

5.「は」を「あ」に変えて出す

最後に「はぁー」と出していた声を「あ」に変えてみましょう。囁き声のときの「吐息」が混じらないように声を出すイメージです。

歌う前にこのトレーニングを行うことで、力みがとれてナチュラルな歌声になります。

歌声がイケボっぽくなる!おすすめ曲3選

歌声をイケボにするには、選曲も大事な要素です。

自分にとって歌いやすい音域で、元々の歌手が「イケボ」と呼ばれる曲なら、カラオケでイケボっぽく聴かせることができます。そんな基準でおすすめの3曲を選びましたので、曲選びの参考にしてみてください。

milk tea / 福山雅治

福山雅治さんは低音イケボの代表的歌手である福山雅治さんが、幸せなカップルを女性目線で描いた優しいバラード。ゆったりとした曲調で歌いやすく、一つ一つの単語を大切に歌えばイケボに聴こえること間違いなし!歌い方の特徴が強いので、原曲のイメージに捉われすぎずに歌ってみてください。

ひまわりの約束 / 秦基博

秦基博さんの歌い方は音量的な抑揚(ダイナミクス)を学ぶのにぴったりです。
語尾の最後の最後、息を吐き終わるポイントはどこか」と考えながら聴くと、独特の情緒感を掴みやすくなります。

リボン / BUMP OF CHICKEN

BUMP OF CHICKENの藤原さんも低音イケボとして人気がありますね。
低音は胸周辺を響かせるようにして深みを持たせて歌うと良いでしょう。

イケボの条件【話し声編】

話し声での「イケボ」もまた、はっきりとした定義はありません。低音のバリトンボイスが良いという人もいれば、高めで爽やかな声が良いという人もいます。

しかし、YouTubeや他の動画サイトでイケボと言われる人たちの声をよく聴いてみると、下記のような共通点があります。

  • 声の通りが良い
  • 滑舌が良い
  • 囁き声から大きな声までをスムーズに使える
  • シチュエーションによって吐息を上手に使える
  • 発音がていねいである

この4点を鍛えていくことで、話し声をイケボに近づけていくことができます。

話し声をイケボにする簡単ボイトレ

話し声をイケボにするトレーニングと歌声のトレーニングに大きな違いはありません。
「音程の上下幅」と「練習するときに使うのが曲か文章か」くらいです。

ここでは、発声を安定させ、話し声をイケボにするボイストレーニングをご紹介します。

声の通りを良くする「舌出し発声」

  1. 何もしない状態で「ボイトレのイロハ」と言ってみます。
  2. 舌を思い切り出して「えー」と声を出します。
  3. 今度は舌を出したまま「ボイトレのイロハ」と何度も発音します。

もちろん他の単語でも大丈夫です。また、舌出した状態での発声は上手に発音できないのが普通です。上手に発音しようとせず、前へ押し出すようなイメージで行なってみてください。

舌を出した状態で声を出すことで舌や顎周辺をストレッチでき、発声がスムーズになる効果や滑舌を良くする効果を得られます。

丁寧な発音グセをつける母音読みトレーニング

日本語は母音と子音がセットになっている言語のため、母音の発音がおろそかになってしまいがちです。母音と子音については英語の授業で習ったことがあるかもしれませんが、簡単に言うと母音が「あ、い、う、え、お」の音、子音は「k,s,t,n,h」などの「無声音」です。

母音読みのトレーニングは、文章を母音だけで読んでいくだけです。
「おはようございます」なら「おあおうおあいあう」と読みます。一見単純ですが、日本一有名な劇団・劇団四季のメソッドとして、多くのボイストレーナーがレッスンに取り入れています。

最初は1分くらいやるだけでも効果を感じられます。母音で読む前と読んだあとで、同じ文章を普通に読んでみると、滑舌が改善され、声がクリアになった感じがするはずです。

まとめ

今回は、声の種類とイケボの条件、イケボになるためのボイストレーニングをご紹介しました。

「自分は声質が良くないから…」と諦めないでください。生まれ持った声は人それぞれですが、発声を改善することでまったく違った印象になります。

日常のちょっとした時間にできる簡単ボイトレを実践し、イケボに近づきましょう!